「その変人殿に 救われる者もおるのだ」

城内一の変わり者と言われる彼の夢は
全国の農書を体系的にまとめること。

名は『目白逸之輔』
『群奉行(こおりぶぎょう)』である。

郡奉行とは農政を司る役職、お役目のこと。
江戸時代の諸藩では1郡に1人就いており、
年貢、起訴、農民の管理などをしていた。

その配下には郷目付(ごうめつけ)
代官、手代(てだ)等がいる。
そのため現地で業務にあたるよりも
城下での事務仕事が一般的な職務である。

しかし、この『目白逸之輔』は
村々で農事の問題があれば直接向かい

「あんたスジがいいねえ
 本当にお侍様かい?

と言われるほど田植えもホイホイ行い、
実地検証をして困りごとを解決。
ついでに現地の農書(日誌や配置図)も
趣味を兼ねて?収集してしまう。

今で言うフィールドワーク
と言えば聞こえは良いが、
奉行がふらりと旅立ってしまうのを
快く思っていない者も多いようだ。

しかし恐らく、彼はそんな陰口よりも
民が『飢えることのない』ことが一番で
(農書集めもして)気にする暇さえなさそうだ。